働き方改革の推進やコロナ禍の中で注目されるようになった「ペーパーレス化」。
紙でのやり取りがどんどん少なくなっている現在、業務そのものの見直しも必要になってきました。ペーパーレス化の推進によって、これまでの働き方を見直し、より理想に近い業務のあり方を目指すことができます。
そこで今回はペーパーレス化に取り組むヒントをご紹介いたします。
ペーパーレス化とは?
ペーパーレス化とは、紙の資料・文書を電子化し、つまり、紙の利用をできるだけやめてデジタル化することで、業務の効率化やコストの削減を図る取り組みのことです。できるだけ紙の出力は行わず、保管する場合も電子ファイルで行います。
ペーパーレス化のメリット
では、ペーパーレス化に取り組めばどのようなメリットがあるのでしょうか。
検索が容易になる
紙の資料・文書の場合、利用した情報があるときは「棚からファイルを探す」「目当ての資料が出てくるまで紙をめくる」というふうに物理的に「探す」作業が必要になります。紙に書いてあることを斜め読みで確認しながら必要な情報を探し出すのは手間と時間がかかり、効率が良いとは言えないのではないでしょうか。
文書をデジタル化し、社内のネットワーク上やクラウドに保存しておけば、保管場所も明確になるうえキーワード検索や全文検索もできるようになるため、文書を探す手間や時間を大幅に減らせます。
紙代・印刷・保管場所などのコスト削減
企業がペーパーレス化を進める大きなメリットとして、紙代や印刷代のコスト削減が挙げられます。他にも、印刷に伴うプリンターのメンテナンスや電気代、文書の郵送にかかる費用やシュレッダーなどの文書廃棄費用などのコストも削減できます。例えば印刷代だけを見ても、A4用紙にモノクロで印刷するのに1枚5円かかり、従業員が1日10枚印刷すると仮定すると、100人規模の企業では1ヶ月に約15万円の印刷代がかかることになります。ペーパーレス化に取り組めば、年間では約180万円ものコストを削減できることになります。
さらに、紙の文書がなくなれば、文書を保管するファイルや棚を購入する必要もなくなります。また、棚を置く必要もなくなりますので、スペースの有効活用もできます。例えば、経理関係の文書は保存年限が7年とされており、7年間文書を保管するためのスペースが必要でしたが、ペーパーレス化に取り組めば、このスペースの確保も必要なくなります。
情報共有が容易になる
紙の文書の場合、情報を共有しようとすれば印刷したり配布したりする時間や手間がかかるうえ、修正があった場合、修正したものを再度印刷・配布しなければなりません。一方、文書をデジタル化しておけば、1つのデータへの複数人の同時アクセスやオンライン上でのデータ共有が可能になり、情報をスピーディーに共有しやすくなります。また、修正に関しても、複数人が同時に編集できるようになるなど、情報の共有が容易になります。
紛失リスクの低減
紙の文書は、どこかになくしてしまったり火災などで焼失してしまったりすると復元することはできません。デジタル化した文書をクラウド上に保存しておけば、パソコンが紛失しようが焼失しようが、文書がなくなってしまう心配はありません。
ペーパーレス化を進めるうえでの課題
次に、ペーパーレス化を進めるうえでの課題をご紹介いたします。
心理的な抵抗感
今まで紙の文書で運用してきた業務の運用方法を変更することへの抵抗感や、ITツールに不慣れな従業員はツールを使うこと自体がストレスになるなど、心理的なハードルが高く、ペーパーレス化を進める場合の大きな課題となります。ペーパーレス化に取り組むメリットについてしっかりと周知していくことが必要です。
新しい手順の習得
ツールの操作に慣れない従業員にはリテラシー教育をしていくことが課題になります。新しい方法に慣れるまでには、多大な時間と労力がかかるうえ、教育が必要な従業員はペーパーレス化に抵抗を感じている場合が多く、新しい方法を習得することに消極的なことも考えられます。根気強くペーパーレス化を浸透させていく必要があります。
デジタル化できない書類もある
これは課題ではないのですが、法律上デジタル化できない書類もありますので注意が必要です。例えば、定期借地契約書や宅建業者の媒介契約書、不動産売買における重要事項証明書などです。このような文書に関しては専門家と相談しながらペーパーレス化に取り組まなければなりません。
ペーパーレス化に取り組む流れ
では、どのような流れでペーパーレス化に取り組んでいけばよいのでしょうか。
目的を明確にする
まずは、なぜペーパーレス化を行うのか、という目的を明確にする必要があります。
情報共有をスピードアップさせ業務を効率化したいのか、紙の文書をやめることでコスト削減を実現したいのか、目的をはっきりさせ、それを従業員に浸透させていきます。
ペーパーレス化する対象を決める
一気に全ての文書をペーパーレス化する必要はありません。従業員の心理的なハードルが高くない文書からペーパーレス化に取り組むのが良いのではないでしょうか。従業員がペーパーレス化のメリットを少しずつでも感じられるようになれば、今後のペーパーレス化に取り組みやすくなります。
あせらずに取り組む
ペーパーレス化に取り組むうえでの大きな課題は、心理的な抵抗感です。抵抗感の強い従業員に対しても、根気強く目的やメリットを伝え続け、あせらずペーパーレス化に取り組み続けることが重要です。
ペーパーレス化を進めるためのツール
次に、ペーパーレス化をより推進していくために便利なツールをご紹介いたします。
クラウドストレージ
クラウドストレージとは、インターネット上にファイルを保管したり、インターネット上でファイルを共有できたりする場所のことです。紙の文書を印刷してファイルにつづり、棚に保管するという作業を、ペーパーレス化後は文書を作成し、フォルダに振り分け、クラウドストレージに保管するようになります。
OCR
OCRとは、Optical Character Reader(光学文字認識機能)の略で、紙の文書をスキャナで読み込み、そこに書かれている文字を認識してデジタル化する技術のことです。取引先から紙の文書が送られてきても、スキャナで読み取ってOCRをかけておけば、データの検索を行ってスムーズに必要な書類を見つけ出したり、文章を引き出したりすることができます。
オフィスソフト
オフィスソフトとは、日常の業務に欠かせない、ワープロ・表計算・プレゼンテーションといったアプリケーションが組み合わされたものです。ワードやエクセルなど、MicrosoftOfficeを使われている方も多いのではないでしょうか。複数人で同時に編集できるものであれば、情報の共有をより迅速に行えます。
今後も加速するペーパーレス化
電子帳簿保存法などにより、国もペーパーレス化を推進していく方針です。そのため、今後もますますペーパーレス化の流れは進むものと考えられます。
業務効率化のためにもペーパーレス化を検討されてみてはいかがでしょうか。
ペーパーレス化のことならシステムラボにお気軽にご相談ください。